野田首相が鉢呂吉雄前経済産業相の後任に枝野幸男前官房長官を起用することにした決め手は、「即戦力」であるという点だった。 首相は、発足したてで、つまずいた内閣の態勢を早期に立て直し、政策実現を図る考えだが、前途は多難だ。 「考え直してもらえないか。私の他に適任者がいるはずだ」 野田首相の周辺から11日、経産相就任を打診された枝野氏はこう答え、首相側に再考を促した。 枝野氏は2009年の政権交代後、行政刷新相、民主党幹事長、官房長官などの要職を歴任し、「発信力」には定評がある。 一方で、幹事長として率いた昨年の参院選惨敗や、菅内閣の失政の責任も負っている。枝野氏はしばらく「充電期間」を置く考えだった。 しかし、首相も必死だった。民主党内では、挙党態勢構築に向けて、経産相に鉢呂氏と同じ旧社会党系から赤松広隆元農相や、旧民社党系の直嶋正行元経産相らを推す声もあった。だが、臨時国会は13日に始まる。