分解が終了してホッと一息。部品の撮影に移る。その間に技術者の一人が,机の上から小さな部品を手に取った。 「これすごいね。普通ならプラスチックで一体成形で作るところを,金属で丁寧に作っている」 「確かに良くできている。高級感があるね」 技術者が手にしたのは,ボリューム・ボタンだった。ボリュームの増減を調整するボタンのほか,バネ性を持たせるための部品が,金属板に接続してある。こうした細かな部品にまで手間を惜しまない米Apple Inc.のこだわりに,技術者たちは感心した。 ボリューム・ボタンやAlのフレームなど,Apple社は外観に特に注意を払って設計したことがよく分かった。しかしその一方で,内部には必ずしも最先端の部品ばかりを使っているわけではなかった。内部と外部でメリハリをきかせているのである。例えば,内部には一昔前の大きさの部品もあった。 一昔前の部品を使った理由の一つは,ほかの部品と高