機械の少女の初恋ものがたり~藍内友紀『星を墜とすボクに降る、ましろの雨』(ハヤカワ文庫JA)冒頭100ページを公開! ※書影はAmazonにリンクしています ブリーフィング 星 の 眼 〈0〉 青臭く尖った芝に肘を刺されながら這い蹲ったボクは、玩具の〈ライフル〉に頬をつけてスコープを覗き込む。 玩具、といっても地球の戦場では現役で活躍しているライフル銃とお揃いだから、結構重たい。玩具と呼ぶのはこの〈ライフル〉が、地球で人間の頭を飛ばしているものと違って銃弾を吐き出さないからだ。 その代りボクの〈ライフル〉には先端技術が詰まっている。たくさんケーブルが生えている。ケーブルのうち二本はボクの耳を覆うヘッドフォンに、五本は右手に嵌めたグローブに、残りは全部、頭上にかぶさる巨大な〈トニトゥルス〉につながっている。 〈トニトゥルス〉とは、その名に相応しく、無骨な三脚に座った巨大な砲門から超高密