「………」 三日三晩(正確には73時間31分19秒)1~2時間の仮眠を挟みつつ、考えられる限りの物理的、魔法的な刺激を与えてきた。それなのに、 「何で全然変わらないんだ!!」 彼女の名は霧雨魔理沙。普通の魔法使い。しかし、髪はぼさぼさで、顔もひどく疲弊している。 相対する対象は彼女によく似た、 「ゆっくりしていってね!」 食べ物とも生き物とも定かではない、生物(なまものともせいぶつとも読める)である。 これほど似た顔形をしているからには何かしら自分に関係しているはず、あわよくばそこから自分を高めるためのヒントが見つかるかもしれない。 そう考えてはじめた実験も、そろそろ限界のようだった。 肉体的にも、精神的にも、ギリギリの状態で踏みとどまっていた。 引き金を引いたのは、ほかならぬ実験対象だった。 「もっとゆっくりしようよ~」 「……!!」 これだけあらゆる方法を試したというのに! こいつはま
湖の奥。紅色の館の、その地下。 五百の齢を重ねる吸血鬼が統べる、紅魔館の深い深い奥。 広くも狭くもない部屋に、フランドール・スカーレットはいた。 部屋は広い。その広さは、面積の問題ではなく、物がないせいで広く感じるというだけだった。 部屋には物がない。 紅色のカーペットが、隅から隅まで敷き詰められた部屋。 壁の色も紅く、足元も紅く、天井までもが紅い。部屋に窓がないせいで、一面の紅だった。 唯一存在するドアの色も紅。 そして、それ以外には、本当に何も存在しない。 普通ならばあるはずのものが一切合財部屋にはない。 眠るためのベッドも、部屋を照らすための電灯も、時間を潰すための本も、何かを書くための机も。 おおよそ部屋に必要だと思えるものは何もなかった。 紅く、何もない部屋。 閑散とした部屋、遊び道具など何もない部屋。 それでも、フランは楽しそうに笑っていた。部屋の中央にぺたんと女の子座りをして
二人の若い魔法使いが、一人はすっかり本を持っていく泥棒のかたちをして、ぴかぴかする八卦炉を胸にしまい、 もう一人は小さな女の子のような人形を2匹つれて、湖の近くのカサカサした森を、こんなことを言いながら、あるいておりました。 「ぜんたい、ここらの洋館はけしからんね。魔法書を死ぬまで借りていくと文句を言いやがる。 なんでも構わないから、文句を言われずに本をもっていきたいもんだなあ。」 「魔理沙の黄いろな頬なんぞに、右ストレートを二三発お見舞いもうしたら、パチュリーはずいぶん痛快だろうねえ。 くるくるまわって、それからどたっと倒れるだろうねえ。」 それはだいぶ、紅魔館の近くでした。案内してきた人間の豆腐屋も、ちょっとまごついて、どこかへ行ってしまったくらいの近くでした。 それに、あんまり氷精の頭が物凄いので(馬鹿で)、その小さな女の子のような人形が、2匹いっしょにめまいを起こして、 しばらくう
「みぃー みぃー」 「うふ、うふふふ、猫魔理沙は本当に可愛いわねぇ」 昼下がりの神社。 暖かな陽射しの当たる縁側に、霊夢、パチュリー、アリスの三人が身を寄せ合うようにして腰掛けていた。 中央に座る霊夢の膝の上には、子猫程のサイズになった魔理沙が体を丸めて乗っている。 頭には黒猫の耳が、尻からは尻尾が生えていた。 膝上の猫魔理沙を撫でる霊夢の眉は垂れ下がっており、顔はにやけた笑顔で緩みきっている。 その様子を、アリスとパチュリーは左右から熱っぽい目で覗き込んでいた。 生粋の魔女二人が一致団結して猫変化の薬を精製。 標的の親友の巫女がその薬をお茶に混ぜれば計画は成就。 だぼだぼの服の中から、生まれたままの姿の小さな魔理沙をつまみ上げ、 アリスが作った人形サイズの服を着せれば、 愛らしい猫魔理沙の完成である。
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