◇電子的社会へ参加義務 最近、筆者はフィンランドと共同研究を進めるなど深く交流している。フィンランドの運輸通信相が私の研究所に視察に来られたこともある。そのフィンランド運輸通信省がつい最近、高速で大容量のデータ伝送のためのブロードバンドへの接続を国民の「権利」として法律で保障するという宣言を発表した。 ここで重要なのは、単なる政策目標でなくこれを「国民の権利」としたことだ。基本的人権の中でも、生命権や自由権や財産権などの「自然権」に比べ、国家により欠乏や抑圧から免れる権利--生存権、教育を受ける権利、労働基本権、勤労権などのいわゆる「社会権」は比較的新しい概念の人権だ。20世紀に確立したことから「20世紀的人権」とも呼ばれる。 この社会権が生まれた背景に産業革命というエネルギー分野のイノベーションがあったことは確かだろう。突き詰めれば「新しい技術」が「新しい人権」を生む。その伝でいけば、イ