自分で人生の選択をすることが、日本人の幸福感を高めている――今夏、日本における幸福感の研究結果が大きな話題を呼んだ。具体的にどのようなものだったのか? 共同研究をおこなった西村和雄・神戸大学特命教授と八木匡・同志社大学教授がここに書き綴る。 2万人データを分析した幸福感研究 我々は、2万人の日本人のデータから、幸福感に影響する要因の分析を行った(西村・八木(2018))。 幸福感に関する研究は、従来から経済学や心理学において数多く存在する。 ギリシャの哲学者アリストテレスは,幸福を人生の究極の目標ととらえていたし、最近ではフランスのサルコジ大統領が設置した委員会(CMEPSP)が、幸福度計測指標 についての報告書を出すなど、幸福感の測定に力を入れる国も出てきた。 幸福感とは古くて新しいテーマである。 背景には、1970年前後から、所得水準と幸福度の値が必ずしも相関しないことが指摘され、心理