第341回 やっぱりな 映画のできの善し悪しは誰によるか、という議論があってこれに関しては、監督の技量だという人もおれば、脚本の面白さだという話もあり、いややっぱり役者の演技だよ、という主張もある。 私は映画は監督のものだと考えているが、それにしても譬えば「死霊の盆踊り」は、仮にヒッチコックやスピルバーグが撮っていても救いようがない作品になっていたことだろう。そう考えるとまず物語がしっかりしていないと駄目だということになるから、脚本家に負うところが多いのかもしれない。 先日テレビで洋画を観ていた。火星を舞台にしたSFもので、ヒーローとヒロインが洞窟の中で絶体絶命の窮地に追いやられる場面があった。結局背後の岩壁が崩れて抜け道が現われ彼らは助かったのだが、その抜け道を発見したときの二人の反応がまったく違っていたのは興味深かった。 ヒロインは、どうしてそんなところに抜け道があるのかと訝しんで「あ