柴田元幸(Motoyuki Shibata) 東京大学文学部教授。翻訳家。『リヴァイアサン』『ムーン・パレス』(ともにポール・オースター著、新潮文庫)ほか、リチャード・パワーズ、エドワード・ゴーリーなどの多くの作品を翻訳。著書に東大文学部の翻訳演習を完全収録した『翻訳教室』『短篇集 バレンタイン』(ともに新書館)、村上春樹との共著に『翻訳夜話』(文春新書)などがある。 日本語の本が読み通せなければ、あなたは「つまんないから」とか「難しすぎるから」とか「アホらしすぎるから」とかいろいろ理由を挙げることだろう。ところが、英語の本が読み通せず途中で挫折してしまうと、なんとなく、すべて自分の英語力のせいにしてしまわないだろうか。 同じように、初対面の外国人と話して、ろくに言葉が出てこないときも、やはり自分の英語力のせいにわれわれはしてしまいがちであるように思う。でも日本人同士だって、特に初対面