第1話から読む 第2話から読む 3月中旬。取材をした女子学生から「第1志望の企業から内定をもらいました」と連絡が来ました。 おおー、すごい! このご時世に、このタイミングで、しかも第1志望なんて。すっごーい! 内定したのは自分じゃないのに、完全に浮かれるワタシ。ですが、どうも彼女の様子がおかしい。 喉から手が出るほど欲しかった第1志望企業からの内定通知のはずなのに、電話口からは本来の明るさが感じられません。 「あの...もしお時間があったら、少し相談に乗っていただけないでしょうか」 うーむ、これは何かありそうです。仕事の合間を見計らい、ワタシは直接彼女に会って、話を聞いてみることにしました。 「私、営業できるでしょうか?」 「今さらなんですけど...私、この仕事に向いてるのかなあって思って」 浮かない顔をした彼女は、私の顔を見るなり、そう切り出しました。 メーカーの営業職を目指してきた彼女