編集委員・田村秀男流出する国富 未曽有の大震災と原発事故から4カ月もたったというのに、菅直人政権は場当たり政策に終始して恥じず、復興・再生を妨げている。そんな日本の通貨、円は売られておかしくないのに、逆に買われ、円高が加速している。今の円高が日本のためになるとは妄言である。日本国と日本人をますます貧しくさせる。 論より証拠、データを見てみよう。円は2007年夏から上昇基調に転じた。この3月11日の東日本大震災を機に円高にはずみがついた。先週には1ドル=80円を切るようになり1年前に比べ約10%上昇した。日銀統計によると、この間の輸入物価は10・5%上昇し、輸出価格は2・2%下落した。輸入コストの上昇は石油や穀物など原材料の高騰のせいだと、割り切ってはいけない。輸入業者は「円高差益」の多くを懐にし、実際の小売価格は据え置きにするケースが多いのだ。 もっと深刻なのは、輸出部門である。輸入原材料