映画監督、ノンフィクション作家の森達也さんと、さまざまな世代、立場の人たちとの対話をまとめた『アは「愛国」のア』(森達也著・潮出版社)という本を読んでいたら、こんな話がでてきたんですよ。 森達也:数年前に、ゼミの学生たちと飲みに行ったとき、誰かのギャグに対して他の学生たちが、手を叩きながら笑うことに気づきました。拍手ではなくて、柏手のようにして、笑う時に顔の前で手を叩く。僕たちが若い頃にはなかった習慣です。いつこんな作法が始まったのだろうと不思議だったけれど。 D:言われたらそうですね。でも当たり前のように手を叩いていました。 森:もしかしたら世界的な傾向なのだろうかと思ったこともあった。でも去年。ヨーロッパで学生たちを観察する機会があったけれど、笑うときに手を叩くことはなかった。日本だけかもしれない。そこから推察すると、テレビのお笑い番組の影響なんだと思う。関根勤さんなんかが典型だけど、