「和僑」を名乗る一群の人々がいる。意識しているのは、むろん、華僑だ。華僑の凄まじさは、あの爆発的なエネルギー、そして、至る所に張り巡らされた「相互扶助」のネットワークである。華僑に学び、海外で起業する日本人たちの相互扶助の場として生まれた和僑会。香港和僑会と和僑総会の会長を兼務する荻野正明さんに聞いた。 リアルにつながる場が必要 ――香港和僑会は世界12地域にある和僑会の本家本元的な存在ですね。荻野さんが香港に渡られたのはいつでしょう。 今から48年前。もう半世紀です。その頃の香港は中間層がない。上流と下層だけ。一生、下層で生きていくのが嫌なら、雲を突き抜けて上へ行くしかない。だから、華僑は起業の心構えが全然、違う。「一杯どう」と誘っても、乗ってこない。「オレには目標がある。なんでそんなカネを使わなければならないのか」と。成功するために、やれることは何でもやる。日本人にはとてもあんな迫力な