夏が近づいたら何かが起こりそうだという気が毎年するのだが、H&Mに行ってアロハシャツと短パンを揃えたくらいではなにも起こらなかった。 いや去年は無職になった。 事業が終了したら部署ごと無くなって、そこにいた人間がまとめてお払い箱になってしまうのは、いわゆる外資系で働いていればよくあることとはいわないまでも、珍しいことでもない。それまではわりに忙しかったので、失業手当でももらいながらちょっとゴロゴロするかと思っていた。 ブックオフで買った本も読み終わってしまって、日暮里の談話室ニュートーキョーでぼんやりしてたら、誰かが傍で立ち止まった。顔を上げるとNが不機嫌そうに睨んでいた。 なんでこんなところで昼間から優雅にメロンソーダ飲んでんだよ、しかもさくらんぼ入り、さくらんぼ、と突っかかってくる。うっせーな無職だからに決まってるだろうが、と返すと、えーなにそれとうとうクビになったの?聞きたい聞きたい