今朝、脚本家の桶谷顕(おけやあきら)が亡くなりました。 『ボクがもらった幸せ』から、ひとつ紹介します。 『キャッチボール』 相手の胸に向かってポーンとボールを投げる バシッと皮のグローブを鳴らして ボールは受け止められる ただ、それだけの遊び けれど なかなか胸には届かない きちんと真っ直ぐは届かない 格好をつけて力めば ボールは友の遥か頭上を越え 彼が追いかけてゆくまで転々とする 「悪い悪い」と声をかけ 今度は真っ直ぐなボールを投げるんだと 心にきざむ ワンバウンドの返球 軽くさばければ格好いいが ボールは逸れ 草むらに転々とする 今度はぼくが走る 「下手くそ」と呟きながら ボールを追いかける 相手の胸に向かってポーンと投げる バシッと皮のグローブを鳴らして ボールは受け止められる いつしか グローブには汗の匂いが染み込み 彼のモノか ボクのモノかわからない汗の匂いが…… ただ、それだけ
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