「ソープへ行け」と僕は彼女に言われた。 僕が人生で初めて告白した彼女だった。 優しくて、賢くって。とても綺麗で。 20歳超えて童貞なんて信じられない。私に幻想を抱かれても困る。 汚物をみるような目で、心底哀れむような目で、僕はそういわれた。 ぼきん、と僕の中で何かが折れる音がした。 そうか。幻想は求めてはいけないんだ。愛情なんて求めてはいけないんだ。 一方その頃ロシアでは 一人のジャーナリストが死体で発見された。 ロシア極東連邦管区ハバロフスク郊外。額を一発で撃ち抜かれており、明らかにプロの仕業であった。 同日同刻、一人の男が疾駆していた。 "濡れた足の犬"の異名を持つ暗殺のスペシャリストである彼は混乱していた。何故、FSBに所属している彼が追われているのか?彼の愛人でもあった上官は何故、狙撃されたのか。彼が殺したジャーナリストが所持していた小包はなんなのか。 彼女が最後に言った言葉を思い