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ブックマーク / onboumaru.com (5)

  • 呪い人形 針千本 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 伴山ト申す僧がございまして。 諸国を旅しておりましたが。 ある時、下総は須賀山ト申す地を、通りかかった時のことでございます。 四町ほど続く石垣が目に入ってまいりましたが。 そのほとんどが崩れかかっておりまして。 すみれ野原に、器のかけらが散らばっている。 どうやら、古い屋敷の跡らしく思われました。 その傍らに八十に近い老人が、火鉢にあたりながら藁を編んでおりました。 草の庵を結んで暮らしている様子でございます。 伴山が、上総への道筋を聞きがてら、 「ここはどちら様のお屋敷の跡でしょうかな」 ト、尋ねますト。 老人は、煙草の煙をくゆらせながら。 ゆっくりと語りだしたのでございます。 昔、ここは高塚沖之進ト申す武士の屋敷でございました。 高塚家は代々、この地の領主でございまして。 沖之進は隣国の姫君を奥方に迎え、つつがなく暮らしておりました。 その時、奥方はまだ二十一

    呪い人形 針千本 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
    fumikef
    fumikef 2016/09/04
    昔から髪には適度に水分を吸い脂を含むと考えられてて、針山の中に入れてたらしい、それがヒトガタだとまんま呪いになるなーとは思ったことはある。
  • 鬼の手 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 平安の昔の話でございます。 とある地に、鹿や猪の猟を生業とする兄弟がございました。 いつも二人で山に入り、「待ち」ト呼ばれる手法で猟を行っておりました。 離れた二の高い木の股に、長く頑丈な横木を渡しまして。 その上に二人が並んで立ち、下を通る獲物を弓で狙うというもので。 九月も下旬となったある晩のこと。 見上げれば夜空に月はなく、見下ろせば眼下に闇が広がっている。 静まり返った森のなかで、兄弟は鹿のやって来る音に耳を澄ましておりました。 二人を長い静寂が包んでいる。 「おかしい――」 ト、まず兄がそっとつぶやいた。 「――今夜に限って、獲物が来ない」 弟はそれを聞いて、一つ息をつきますト。 「母者人が一人寂しく待っております。空手で帰るわけにはまいりますまい――」 ト、深い憂いを湛えた声音で言いました。 兄は何も返さない。 再び、静寂が二人の間に流れます。 鹿の忍

    鬼の手 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
    fumikef
    fumikef 2016/08/30
    恐ええ!折れた足でぴょーんのシーンがジョジョ第6部のケンゾー老人を思い出した。
  • 崖から突き落とした男 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 唐土(もろこし)の話でございます。 唐の貞元年間のこと。 河朔の地に、李生ト申す少年が住んでおりました。 李生は地方官吏の家に生まれまして。 それなりに学問もあるはずではございましたが。 どこをどう踏み誤りましたものか。 幼い頃からすこぶる素行が悪く、親からも見放されておりました。 十四、五の頃には、すでにならず者の一味に加わっておりまして。 すぐに仲間とも喧嘩別れをし、盗賊の真似事をしてひとりで暮らしておりました。 貧しい身なりをして、馬を乗りこなし。 弓矢を手に携えて、旅人をおびやかす。 そんな少年の姿に、人々は畏怖と好奇の眼差しを向けまして。 密かに「石窟小賊」と綽名しておりました。 さて、そんなある日のこと。 根城としている岩山の断崖を、李生が馬で進んでおりますト。 向こうから同じ断崖の道を、馬に乗って悠然ト向かってくる者がある。 年の頃は、李生と同じ十五、

    崖から突き落とした男 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
    fumikef
    fumikef 2016/08/25
    同じ穴のムジナ、考えることもまた同じ。
  • 佐渡の八百比丘尼 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 ご承知の通り、佐渡はいにしえより流刑の地でございます。 古くは順徳天皇、日蓮上人、能役者の世阿弥など。 様々な人物がこの島に流されてまいりましたが。 徳川様の御代となってからは、もっぱら町方の罪人の終焉地トなっている。 終焉地トはどういうことかと申しますト。 この地に流されたが最後、生きて帰ることはまずありえません。 まずは瓢箪責めという慣例から始まりますが。 これは、己の股ぐらに頭を突っ込むような形をとらせまして。 その形のまま、縄で厳重に縛り付けられるトいうもので。 この責め苦には、どんな悪人でも悲鳴を上げて、苦しがります。 中には、この時点で息絶えてしまう者もいる。 やっとのことで解放されますト。 実はここからが番で。 三年三月の苦役を勤め上げれば、晴れてお赦しトなりますが。 まず、満期を迎えられる者がおりません。 針山のような鉱山を、裸足で歩き回らせられま

    佐渡の八百比丘尼 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
    fumikef
    fumikef 2016/08/14
    カニバリズムのサイコホラー要素と人魚伝説との合わせ業が面白い。高橋留美子の人魚の森を思い出す。
  • 犬と女房とその娘 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-

    こんな話がございます。 昔、摂津国兵庫のあたりに、長七ト申す者がございました。 大坂から酒を取り寄せて、商いをしておりました。 長七は近頃、二親を立て続けに亡くしまして。 当人はト申しますト、四十を過ぎてもいまだ独り身でございますから。 突然、天涯孤独の身トなってしまった。 商売にせわしなく立ち回っているトは申しましても。 寂しいものはやはり寂しいものですので。 いれば慰みにでもなろうかト。 雌犬を一匹買い求めて、飼うことにいたしました。 矮狗(べいか)トいう小型の犬種でございまして。 そこらの野良犬とはわけが違う。 そもそもが愛玩用に掛け合わされたものでございますから。 姿かたち、しぐさなど、どこをとっても愛くるしくできている。 長七もすっかり心を奪われてしまいまして。 殊の外、この犬を可愛がります。 様々な芸を仕込んでみたり。 夜には懐に抱いて共に寝たり。 朝夕には己の器に餌を盛って

    犬と女房とその娘 | 砂村隠亡丸の余苦在話-よくあるはなし-
    fumikef
    fumikef 2016/08/12
    稀にある先天異常:口唇裂口蓋裂や無脳症などが、そんな怪異譚の元になってる可能性は否定できないと思ってる。異常な子供が生まれたのは「犬の祟りだった」と理由を付けて弔えば人は安心できる。そんな仕組み。
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