大森望編のオリジナル・アンソロジー・シリーズ《NOVA》全10冊は、第34回日本SF大賞特別賞を受賞した。今年4月25日の贈賞式ではしおらしいスピーチをした大森望だが、その3週間前に開催されたSFイベント「はるこん」の企画では「アンソロジーが特別賞というのはアタリマエすぎてツマらない。ここは大賞にするか、さもなくば賞なしか、どちらかにすべきだよなあ」と放言して、観客の喝采を浴びていた。そういう男である。 いっけんウケを狙っているだけのように思えるが、実はここに大森望の本質が垣間見られる。アタリマエをよしとせず、演出や効果まで考えぬいて企画をしかける。平たく言えばショーマンシップだが、それを豊富な知識・人脈で肉づけするのが彼一流の編集才覚だろう。それが本書にもいかんなく発揮されている。 新しいアンソロジー・シリーズ《NOVA+》の、これが第1巻。前の《NOVA》が巻数表記だったのに対し、こん