通信の秘密とは,日本国憲法や電気通信事業法で「侵してはならないもの」として守られているものである。しかし,その実体はなかなかわかりにくい。通信事業の監督官庁である総務省によれば,「通信の秘密」は大きく三つに分かれるという。 AさんがBさんに電話をかけた場合を例に「通信の秘密」を見ていこう(図1)。 一つは,そもそもAさんからBさんへ電話をかけたという「通信の有無」そのものだ。二つめは,AさんとBさんがどのような会話をしたかという「通信の内容」。さらに三つめとして,電話をかけたユーザー,かけられたユーザー,電話をかけた時刻などの「通信の構成要素」も通信の秘密に該当する。 こうした通信の秘密を守らなければならないのは,通信事業者に限った話ではない。第三者が通信内容を盗聴したりしても,法律に違反することになる。 ただし,どんな場合でも必ず通信の秘密が守られているわけではない。通信の秘密が守られな