穏健派イスラム教徒を中核に多民族、多宗教の国であるインドネシアで4月上旬、米誌「プレイボーイ」のインドネシア語版が発刊され、論議を呼んだ。 ジャカルタでは、強硬派団体の支持者数百人が同誌編集部があるビルに押し掛け、窓ガラスに投石し、警察と衝突した。デモ隊は創刊号を燃やして気勢を上げ、編集部員や同誌に広告を出した企業の幹部をわいせつ罪の疑いで訴えると息巻いた。 創刊号にヌード写真はなかった。記事の内容もまじめさが目立った。なぜ激しい抗議が起きたのか。折しも、国会でポルノ規制法案が一大争点になっていた。発刊は保守派とリベラル派の対立の炎に油を注いだ。 プレイボーイ誌に対する反対運動が高まる中、保守勢力は「ポルノ規制法の成立を急げ」と強く主張。他方、女性団体など市民約6千人がジャカルタ中心部で法案に反対するデモを行った。市民の関心は、プレイボーイ誌論争から、この国の言論・表現の自由と直接関連する