ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破を観た。テレビ版や旧劇場版から大幅に変更されていて面白かった。ただ、あのころの、僕の気分とシンクロするような《特別な》なエヴァンゲリオンではなかった。もうひとつの、別の、エヴァンゲリオン。もちろん、そんなことはわかってはいたのだけれど。僕の心にもっとも印象に残っているエヴァンゲリオン。それは誰にも振り返られることのない、「忘れられたエヴァンゲリオン」だ。 あのころ、僕の気分とシンクロした特別なエヴァンゲリオン。それは《春エヴァ》と呼ばれた「シト新生 DEATH&REBIRTH」のうち未完成フィルムの「REBIRTH」だ。あのころ。1997年の春。大学を卒業して就職して一年を経た僕は仕事に追われて文字通り走り回るような生活をしていた。とても疲れていた。あの日、僕は疲れが頂点に達していて勤務時間中に逃げるように映画館に入ったのだ。逃げちゃ駄目だというのに。そのときか