元始、女性は実に太陽であつた。真正の人であつた。今、女性は月である。他に依つて生き、他の光によつて輝く、病人のやうな蒼白い顔の月である。 偖(さ)てこゝに「青鞜(せいたふ)」は初声(うぶごゑ)を上げた。 元始、女性は実に太陽であつた—今も月である 前述の部分は、社会運動家である平塚らいてう(1886-1971)によって、1911年(明治44年)9月に創刊された日本初の文藝誌「青鞜」の冒頭部である。(全文はこちら) 平塚らいてうは1920年に市川房枝らと共に「新婦人協会」を設立。女性差別の撤廃や母性の保護を訴えた。しかし、当時の世間の眼差しは冷たく、「新しい女」と嘲笑気味に言われた。 「青鞜」創刊から100年あまりの時が過ぎた。日本は変わった。 新幹線が日本全国に整備され、温水洗浄便座が当たり前のようになり、スマートフォンが普及し、DNAによる父子判定が可能になった。また、二度の大きな戦争を