2013年09月29日10:35 カテゴリ本 ヒューム 希望の懐疑主義 ヒュームの懐疑主義は、カントを「独断のまどろみ」から目覚めさせたものとして有名だが、これはカントがヒュームの哲学を完成させたことを意味しない。むしろポストモダン的にみると、ヒューム的な懐疑を徹底しないで「超越論的主観性」という絶対者を置いたカントのほうが後退したともいえる。 本書は、こうしたヒュームの懐疑主義が彼の政治・経済論の基礎になっていると論じる。ヒュームの問題として知られるように、自然科学で絶対のようにみえる因果関係は主観的なものだが、逆に社会の中にも(だいたいの)因果関係を見出すことはできるかもしれない。この意味で、ヒュームにおいて「社会科学が生誕」したのだと本書は論じる。 しかし社会科学における因果関係は、自然科学よりはるかに曖昧で不確実だ。たとえば国家がどうやって生まれたのかという問題は、実験で確かめるこ
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