ヴィクトル・ヴァスネツォフ画による「スコモローフ」(1904年) スコモローフ(ロシア語: Скоморох)は、中世ロシアで活動した芸能人の呼び名である。複数形でスコモローヒ(Скоморохи)とも。日本語での翻訳として「放浪芸人」、「漂泊楽師」などがある。 およそ11世紀から17世紀にかけて、ロシアの民衆の宴会や婚礼(婚配機密)、埋葬式などの際に歌や舞踊、楽器演奏、人形劇などの芸によって娯楽を提供したのがスコモローフである。これらによってスコモローフは、伝統的な民衆劇や儀礼をはじめとしたロシアの民俗に決定的な役割を果たした[1]。 とりわけ音楽面においては、スコモローフは古代から中世にかけてのロシア歌唱芸術の中心的な担い手であった[2]。彼らが伝承し民衆の中でその血肉となった民族音楽は、近代・現代のロシア芸術音楽の最大の源泉となった[3][4]。また、スコモローフはロシアの口承叙事詩