すべての家庭から毎日排出され、下水管を通して下水処理センターに行きつく汚水。実はその中には、農業に不可欠な貴重な成分が含まれている。世界的な化学肥料への需要の増大、地政学的なリスクの高まりを背景に、いま政府が取り組むのが下水汚泥に含まれるリンなどの成分の活用。旭川市の汚泥についても昨年度、成分検査が行われ、上々の結果が出た。これをもとに旭川市では今後、汚泥を活用した肥料の開発などに取り組む考え。科学技術を活用したクリーンな「下肥」が近い将来、誕生するかもしれない。 農業支えた下肥 人が毎日体外に排泄する糞便は、いまでは「汚いもの」として忌み嫌われている。自分が出したものでさえ、目に触れるのは「流す」ボタンを押すまでのわずかな時間...