3年3カ月間に会った日本人たちの中で、話がよく通じた人々はたいてい80代以上のおじいさんだった。2014年6月、ノーベル文学賞受賞者の大江健三郎氏と行った対談が思い出される。1935年、愛媛県で生まれた大江氏は9歳の時に敗戦をむかえる。戦争末期に日本の学校で行われていたことは「はやくおとなになって天皇のために死ななければならない」という軍国主義教育だった。敗戦の空虚感の中で彷徨った大江氏の前に登場したのは、日本の新しい憲法だった。「当時学校の先生が、新しく作られた憲法には『個人の権利に関する内容と今後日本は戦争をしないという誓いが入っている』という話をした。それで非常に大きな希望を持ったし、勉強して大学に行くことを決心した」 1927年生まれの平岡敬・元広島市長は幼年時期をソウルで過ごした。彼は京城中学校(現、ソウル高)在学時期「当時の教育には一種の朝鮮人蔑視のようなものがあった。学校で