酒と記憶について考えていた。記憶があやふやになる、もしくはまったくなくなるということは、よく考えたらすごいこと。 そんな話をしていたら同僚の山中君が 「時間それは感覚であって 生きたということはただの記憶でしかない って本で読んだ」 と、ゆらゆら帝国の「時間」という曲の歌詞の一節を引用して、またしばらく考えこんだのだが… その日の帰りの電車の中で、つい先日知人からもらった「文藝別冊 楳図かずお」というムックを読んでいたら、安田謙一の文章の中に、 「『時間』という曲に楳図かずおの短編『ろうそく』から引用したりもしたゆらゆら帝国や、」 という一節があって驚いて家に帰って調べてみたら、「生きたということはただの記憶でしかないって本で読んだ」の「本」こそ楳図かずおの初期の短編「ロウソク」なのだそうだ。知らなかった。その中に、 時間とは感覚にすぎない。 生きたということは単なる記憶にすぎないのです。