恥の多い会社に勤めてきました。自分には、普通の会社というものが見当つかないのです。今日は会議がありました。月次定例営業会議。月次と、たいそうな名前がつけられていますが月に四度は開かれています。もっとも多いときで月に十度は開かれたと記憶しています。十一月五日木曜午後五時。部長は会議の日時をそう決めました。前回の会議の終わりに部長自ら席上で伝達したのですから間違いありません。ですから自分も、腰をすえて午後の仕事に取り掛かっていたのです。 午後三時、社会の窓を半分ほどひらいたままの部長があらわれ、「おい!」と自分に声をかけ、「会議だ。すぐにメンバーをあつめるんだ」と言いました。自分はわざとらしく卓上に置いてあるガンダム目覚まし時計《クロック・ジオン》を見ました。「会議は五時からではないのですか?」「六時から日本シリーズがある。テレビで観戦しなきゃいけないだろ」「はい…」自分はことさらに、消え入る