(第35号、通巻55号) パソコンが普及するにつれ、様々な新語が生まれた。インターネット、インストール、ソフト、Eメール、フリーズ、マウス、クリック…。今ご覧いただいている『言語郎』という珍妙なタイトルのブログ。この「ブログ」という用語自体も一般に広まってからまだ10年もたっていない新参者だ。 パソコン、もっと広げてI T 関連の新語というと、英語から日本語に入ったカタカナ語がほとんどすべて、と思われがちだ。しかし、数はそれほど多くないものの、昔からある日本語の語彙にも影響は及んでいるのである。 中でも注目すべき例は「立ち上げる」という動詞だ。単に「パソコンを立ち上げる」と使うのが一般的だが、最近は他の分野にも転用され「ベンチャー企業を立ち上げた」とか「チームを立ち上げる」とか、なにか大きな企画、事業を始める時に使われるようになった。 ところが、この「立ち上げる」という語そのものが“新語”