しかし,ユニバーサル・デザインの実現は難しい。人間は多様性に富む生き物だ。個人によって,経験や考え方は違う。このため使いやすいと感じるものは異なる。“万人を満足させるUI”は不可能に近い(図1[拡大表示])。 ユニバーサル・デザインが現実に無理であれば,人間の多様性を吸収する方向でUIをデザインしていくしかない。現在考えられているのは二つ。まず,用途や使う人をある程度限定した製品作りをすること。限定することによって,多様性による理解のずれを小さくする。 もう一つは,複数のUIを用意すること。人間の多様性に合わせて,製品側にも複数の使い方を設ける。自分に適したものを選んでもらうことで,一人でも多くの人に使いやすいものを提供できる。 人間の特性を実験で導き出す 多様性への対応の前提として,根幹となるベースのデザインはある程度万人が納得できるものでなければならない。その材料として使える要素の一つ