以前「真田丸 本格大河とは」という記事を書いたが、本作が本格的ではないという批判は大変残念に思う。多くの人が理由としてセリフ回しや人物造形が時代劇としてあり得ない、喜劇風で作風が軽いといった点を挙げているのだが、そのような意見こそ大河ドラマの本質を見ていないということをここで明らかにしたい。 ●リアルさの追求 そもそも大河ドラマはスターたちを起用した最初2作だけの予定だった。3作目の「太閤記」(1965年)で新人を抜擢し、人件費で浮いた分で大規模野外ロケを実施して実験的な作品作りを行って(wiki「太閤記」)以来、新路線が生まれたのだ。 「真田丸」が遺作となった林邦史朗氏はこの3作目以来、50年間ずっと大河ドラマの殺陣指導を行ってきた。その仕事を継いだ中川邦史朗氏は、林氏から聞いていることとして「『太閤記』の監督はドキュメンタリー系の人だったので戦いにもリアルな映像を求めた。」と言っている