ラジオや舞台での共演など、公私ともに永六輔さんと親交が深かった毒蝮三太夫さん(80)は、「大きな昭和の火が消えたと感じるね」と話す。 ◇ 最後に顔を合わせたのは、2カ月ほど前。都内の病院に入院していた永さんを見舞った。「ずいぶん弱っててね。おれのこと、わかってくれたとは思うんだけどなあ」。病状が悪化する前、永さんは会うたびに、「これが最後になるかもな」「おれは病人なんだから」とふざけていたので、その冗談も口にできない姿を見て、覚悟はしていたという。 1970年代に、ラジオ番組で共演して出会った。互いに江戸っ子で、気が合った。「おれがげたを履いて、ベーゴマや剣玉をやる下町の悪ガキなら、永さんは靴にランドセル背負って学校に通う二枚目のエリート。山の手のにおいがするんだな。だって、歌詞にしても、本にしても品がいいでしょ」と振り返る。「自分にないものを持っているから、おれを気に入ってくれたんだと思