青森県下北半島の端に、「大間マグロ」で有名な小さな町がある。 津軽海峡に面した港のすぐそばには、最近大きな舗装道路が建設された。道路の海側は、今年5月に着工した大間原発の敷地だ。道沿いには何キロにも渡ってグリーンのネットを張った鉄パイプの柵が設置され、「関係者以外立ち入り禁止」の看板が掲げられている。 ところが一箇所だけ穴が空いたように、敷地の中へ砂利道が伸びている。入口を少し入るとガードマンが常駐する小屋があり、その先の両側は完全に鉄条網に囲われてしまう。この小道を15分ほど歩き続けると、目の前に蒼い海が広がった。そこに「あさこはうす」は建っていた。 <目の前に原発の炉心が現れるのか> 大間原発の建設計画が持ち上がったのは32年前。当初は多くの住民が建設に反対したが、札束を積み上げられ年を追う毎に買収に応じていった。しかし最後の最後まで土地を売らなかったのが熊谷あさ子さん。あさ子さんが守