家庭内で介護を苦にした心中事件あるいは殺人事件は、介護保険制度が始まった後の6年間でも累計200件近くにおよぶと見られています。なぜ、こうした悲惨な事件が後を絶たないのでしょうか。当シリーズを始めるにあたり、まずは06年7月に群馬県のある都市で発生した事件にスポットを当て、家族介護が陥りがちなリスクともに、様々なサポート体制の中で見落とされてしまった点について掘り下げてみたいと思います。 事件は、夫婦二人暮らしの世帯で発生、要介護者の夫を介護者である妻が絞殺するというものでした。犯行後妻も自殺を考えましたが、たまたまかかってきた親族からの電話によって思いとどまったといいます。 その後、殺人容疑で逮捕・起訴され、06年後半より数回にわたって地方裁判所で公判が開かれました。そして、07年3月、被告の妻に対して「懲役3年・執行猶予5年」の判決が言い渡されました。被告が夫の介護で身体的・精