ミキシングにおける「こってり・あっさり論」について紹介するコラムの第2回。前回のコラムでは、音を「並べる」と「詰め込む」ことによる音の分離感の違いについて説明しました。多様な音楽を混ぜ合わせる日本特有の音楽スタイルが陥り易い「こってり問題」ですが、このような手法を用いる時に最も注意すべきことは、「単に混ぜただけでは成立しない」ということです。もちろんセンス云々もありますが、それについては僕があれこれ言えることではないので、音響的な話に絞ってお話をしてみたいと思います。 1. 重なり合う帯域のEQ処理 単に音を混ぜるだけでは音と音が重なり合ってしまい、これが行き過ぎると、音の分離感のない「こってり」としたトラックになってしまいます。これを解消する定番手法は、よく言われる「カット」という作業。カットという言葉から「ゼロにする」という意味が連想されますが、必ずしもゼロにする必要はありません。それ
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