冬の日差しは、強くもなく、弱くもなかった。窓辺に置いてある鉢植えから、ローズマリーの香りが風に乗って漂ってくる。そんな陽気な午後のひとときを、クリスからの手紙で過ごしている。 本当に綺麗な、青い空だった。この空は繋がっているはずなのに、クリスの元では、雨が降り続いているという。信じられないような話だったけど、それは真実だった。いくらここに雨が降っていなくても、それは変わることはない。それが、私とクリスとの距離だ。——遠い。本当に遠くなってしまった。この距離を縮めることはもうできないのかと、何度も何度も考えた。私は私なりに、がんばってもいる。でも、足りないんだろうか? 学院を無事卒業したら、クリスは戻ってきてくれるんだろうか。この青空の下に。つまりは、私の元に。 1週間前に降った雨はたったの1日で止んでしまい、今ではもう、その名残すら感じられなかった。窓から差し込む日の光は眩しすぎて、思わず