研鑽された技術のぶつかり合いである勝負から離れた時に放たれた野球選手の“ことば”――。その発言に注目すると彼らの別の一面が見えてくる。 今回は今年引退を決めた東出輝裕(広島)の“ことば”に迫ってみる。 「半分冗談、半分本気ですけど、マエケンや黒田さんを見ていると、真剣にピッチャーがやりたかった」 2015年10月10日、東出が引退会見でやり残したこととして、発した言葉だ。 東出は敦賀気比高・2年時に夏の甲子園でベスト8入り、3年では春夏連続甲子園出場も果たしている。2年時は「1番・二塁」であったが、3年になってからは「1番・投手」でキャプテン。だが、投手としては春に3回戦負け、夏は1回戦負けと結果を残せなかった。 特に春の3回戦は、後に横浜高と延長17回を戦うPL学園に敗れている。横浜高の投手は同世代の怪物・松坂大輔。東出の目にはこの死闘はどう映ったのだろうか。 投手としては悔