世の中はとかく多種多様な構成要素から出来ていて、ほとんどの場合「イエスかノーか」「上か下か」「黒か白か」と極端な分類が出来るわけではない。色々な選択肢があり、その中から一つを選ぶ、あるいは複数の要素を眺め見て判断する。ところが一方で、人はシンプルで短絡的なモノを望む傾向がある。この習性を巧みに利用(悪用)したのが「二分法の罠」という方法だ。今回はこれを解説してみることにする。 「二分法の罠」とは、交渉手法・説得手法の一つ。「本来なら多数の選択肢があるにも関わらず、二者択一で相手に迫ることで『どちらかを選ばねばならない』と勝手に思い込ませ、結果的に相手を劣勢に陥らせる」というもの。人の習性として「二者択一」がシンプルで分かりやすいため、本来ならばもっと色々な選択があるにも関わらず、物事を二者択一に分類してしまう(、あるいは他の選択肢を無視させる)わけだ。 具体的な例をあげてみよう。ある地域に