ジャーナリスト、千葉敦子さんによる日本文化論『ちょっとおかしいぞ、日本人』(1985)の中に、面白い指摘があります。「男も女も、すぐ僻む(ひがむ)」という章で、日本人は何かにつけ、他人をひがむというんですね。 僻み根性というのは、日本人の最も得意とする“根性”ではないでしょうか。日本はこれだけ一生懸命やっているのに、欧米はちっとも理解してくれないと僻む。(中略)私の方が彼女よりよく働いているのに、彼女ほど美人じゃないから認められないんだわと僻む。(『ちょっとおかしいぞ、日本人』1988年の文庫版 p.55) え~そうかなぁ?僻む人はどこにでもいるし、日本も欧米でも同じでは…と思って続きを読むと、驚いたことに「ひがむ」に相当する英語って存在しないらしいのです。千葉さんが参照している「大和英辞典」(74年版)では、“become jaundiced [prejudiced] ; be bias