日本国政府が掲げるCO2(二酸化炭素)排出量の25%削減を実現し、再生可能エネルギーを大量に導入するにはどのような技術開発が重要だろうか。 「電力が既に安定化している日本国内で太陽光発電などの再生可能エネルギを大量に導入するには、スマートグリッドが不可欠だ。スマートグリッドではパワー半導体の性能改善が重要であり、SiC(炭化ケイ素)素子が重要な位置を占める」(三菱電機で執行役社長を務める山西健一郎氏)。 発電所から高圧で送電されてくる電力を家庭やオフィスで利用するには、変電所などで何度も電圧を変換する必要がある。再生可能エネルギーを利用すると、逆方向の変換が起こり、さらに変換回数が増える。変換時の電力損失を抑えるには、これまでインバーターが使われていなかった変換器に導入するだけでなく、既存のインバーターの特性改善が必要だ。このインバーターにSiC素子を利用するというのが三菱電機などの計画だ
EU、日本、米国を中心に研究開発や実証実験が進む「スマートグリッド」。従来のように系統(電力網)から、家庭やオフィス、工場などの需要家へ電力を送るだけではない。需要家の情報を系統に戻すことで、系統の信頼性が高まるほか、需要家側でさまざまな付加価値を生むと言われている(関連記事、「スマートグリッドの実証実験、横浜市など4地域で開始へ」)。 しかし、日本国内の系統はすでに十分に信頼性が高い。電気事業連合会によれば、2008年度の1軒当たりの年間停電回数は0.15回、停電時間は10分である。これは事故停電と計画的な作業停電を合わせた時間であるため、予期しない停電(事故停電)はこの数値よりもさらに少なくなる。 停電時間が短く回数が少ないのは、系統に不具合が生じたときに自動応答するさまざまな処理装置が組み込まれているからだ。例えば落雷などで高圧送電線が切断されたとき、切断位置を自動でほぼ確実に把握で
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