渋谷駅前の銅像になり、映画にもなった「忠犬ハチ公」が、心臓と肺のがんにかかっていたことが東京大学の研究で分かった。ハチ公は1935年に亡くなったが、当時の東京帝国大学で行われた解剖記録によると、死因はフィラリアという寄生虫にかかったことが原因とされていた。今回、東京大学農学生命科学研究所の中山裕之教授(獣医病理学)のグループが、大学に76年間保管されていたハチ公の内臓をMRI(磁気共鳴断層撮影)にかけたところ、肺と心臓で腫瘍(しゅよう)を発見。さらに顕微鏡で観察したところ、肺にがん組織が発生して心臓に転移した可能性が高いことが分かった。中山教授らは、寄生虫と並んでハチ公の死因の一つと考えられるとしている。ハチ公は1923年生まれの秋田犬。生後2ヵ月で、飼い主の上野英三郎東京帝国大学教授(1872-1925)にもらわれ、教授の死後も約10年にわたり渋谷駅で待ち続けた。35年3月8日に亡くなっ