サッカーのワールドカップ(W杯)開幕が近いが、東南アジアの国、タイのサッカーリーグもいま、熱い。代表経験者を含む日本人選手が続々と海を越えて参戦し、その数は5年前から15倍以上に。国際サッカー連盟(FIFA)ランク143位で、W杯の出場さえない国になぜ引きつけられるのか。 4月、タイの首都バンコク郊外にあるプレミアリーグのクラブ、バンコクグラス(BG)。DF茂庭照幸(32)が若いタイ選手に身ぶり手ぶりで、プレスをかける時のカバーの仕方など、組織守備の細かい部分を助言していた。会話は英語だ。 2006年W杯ドイツ大会代表で、J1セレッソ大阪などで活躍。今季からBGに加入した。「楽しいですよ。助っ人として呼ばれたけど、厳しい競争の中に身を置けるわけだから」。昨季終了時、セ大阪から契約更新を打診されたが、タイに渡る決断をした。給料は下がったが、「もう一度ハングリーな環境に身を置きたかった」。 前