「書店繁盛記」(田口久美子著・ポプラ社)より。 【出版界全体は不景気だが、自費出版はますます隆盛である。不景気な昨今、こんな美味しい市場がまだあるんだ、と古狸の私でさえうなずいてしまう。注文制で製作リスクも販売リスクもない、はっきり言って丸儲けの市場だ。しかも客単価が高い、最低でも1件50万は堅い。あとは客が来るのを待つばかり、小規模の出版社はホームページで募集、大規模になれば、新聞広告を大きく打って、待っていれば来る。「契約書店で販売も可能」とさらに重ねればもっと来る。「大型書店で相談会」と銘打てば、もっともっと来る。営業と編集、広告経費だけが原価。重ね重ね美味しい市場だ。ジュンク堂のように商売の邪魔するやつが現れたら、怒鳴り散らせばいい、客は書店でも読者でもなく注文主なのだから。 先日ひょっこりと訪ねてきた友人が「母親が自費出版で本を出してね」と椅子に座るなり切り出した。へー、お聞きし