※ この記事は、ハリウッドデビューした日本人映画監督 紀里谷和明氏の著書『地平線を追いかけて満員電車を降りてみた 自分と向き合う物語』(文響社)の3章を、全文無料公開するものです。 『地平線を追いかけて~』は、紀里谷氏が4年半の月日を費やして書き上げた、これまでになかった「読み手参加型・対話式」の自己啓発小説(対話篇)です。ぜひまったく新しい読書体験をお楽しみ下さい!(by. 担当編集 編集集団WawW! Publishing 乙丸益伸) 定時のチャイムが鳴ったあと、瞬は、同期の茉莉(まり)から非常階段の踊り場に呼び出された。 「わたし、会社辞めるの」 茉莉は、瞬と同じ会社のデザイン部に所属しているが、晴れて独立し、昔からの夢だったイラストレーターになるのだという。 瞳をキラキラさせて話す茉莉に「よかったね。おめでとう」と言葉をかけて席に戻ると、さっきまで軽やかに降っていた雨が、重たいみぞ