千年に一度の超巨大津波に襲われた東日本大震災から明日で3年。被災地の調査を続ける中で、常々思い知らされるのは「津波てんでんこ」の教えの正しさだ。 てんでんことは各自のこと。海岸で大きな揺れを感じたときは、津波が来るから肉親にもかまわず、各自てんでんばらばらに一刻も早く高台に逃げて、自分の命を守れ-という意味だ。 この教訓に基づき、片田敏孝・群馬大教授(災害社会工学)の指導で津波からの避難訓練を8年間重ねてきた岩手県釜石市内の小中学校では、全児童・生徒計約3千人が即座に避難。生存率99・8%という素晴らしい成果を挙げて「釜石の奇跡」と呼ばれた。 同市北部に位置する鵜住居(うのすまい)町の海岸線から約800メートル、海抜約3メートルの川沿いの低地に並んで建っていた釜石東中学校と鵜住居小学校の事例を見てみよう。 平成23年3月11日。午後2時46分に東日本大震災が発生すると、釜石東中の副校長は教