日本のウイスキーづくり80周年、情熱の時代 ひとりの男の魂が宿った、傑作80年前。日本にはウイスキーの需要などなかった。ひとりの男が「需要はつくればいい」と立ち上がった。不評、資金難。辛酸をなめつつも男はブレンドを繰り返す。そこから時代を超えて愛されつづける傑作が誕生した。 誰もが反対したウイスキー事業 米一升25銭、タバコのゴールデンバット7銭、理髪30銭、ビール大瓶30銭という時代に、日本初の本格ウイスキー『白札』が誕生している。1929年(昭和4年)のことだった。 この頃、まだ珍しい存在だった大学卒のサラリーマンの初任給が50円。月収40円もあれば夫婦と子供ひとりの3人家族がつつましやかに生活できた。 ところが国産第一号、サントリーウイスキー『白札』は1本4円50銭。一般家庭の月の生活費の1割を占める価格だった。 ウイスキーはかなりの贅沢品といえた。輸入スコッチの中で入手しやすかった