家に帰ったらゴリラがいた。 生きているゴリラを見るのは久しぶりだった。 とりあえずバナナを買っていたので一房あげたら懐かれた。 ゴリラは少し震えていた。本来は熱帯に住むので、寒いのは苦手らしい。仕方がないので近所の店に行って、コタツとベッド一式を買った。それ以来、ゴリラは私の部屋に住むようになった。 それから毎晩、私とゴリラは隣り合わせのベッドで眠っている。気持ちよさそうに眠るゴリラの長大なイビキを聞きながら、私は眠れない夜を過ごしている。おかげで寝不足気味だが、不思議と不満はない。 私が仕事から帰ってくると、決まってゴリラはコタツでボーッと暖かそうにしている。私が「ただいま」と言うと少し嬉しそうにする。おかえりとは決して言わない。ただ嬉しそうな表情をする。 ゴリラは私が作った食事をとても美味しそうに食べる。コタツの対面に座って夕食を頬張るゴリラを見ていると、二人で暮らしているという実感が