日本はいつから、こういう国になったのだろう。総選挙の前夜、首相のラストスピーチはナチスさながらだった。群衆がわく。日の丸がうち振られる。ヤクザまがいの男が異論を唱えるものを恫喝する。 社会では、ヘイトと呼ばれる人種差別が横行する。戦前の教育勅語が見直され、大日本帝国憲法が理想だという政治家もいる。戦争は魂を浄化すると言って憚らない閣僚がいる。何かがおかしい。そう思う人は多かろう。 しかし、それが目に見える形になりにくい。選挙制度の問題もある。三割の得票率で六割以上の議席が得られる。これでは民意が反映しにくい。小選挙区制度に賛成した議員は臍を噛んでいるだろう。圧倒的に比較第一党に有利だ。