瀬戸康史の幸せを誰よりも願ってる。日本の行く末よりも世界の平和よりも瀬戸康史の幸せを願ってる。 いつもそうだった…ヒロインの幼なじみ、主人公の親友、社内のエース、かわいい後輩、同業他社のイケメン、御曹司……圧倒的優位でレースを進めつつも、最後の直線200メートルで一気にブチ抜かれる…全部、全部負けてきた。いっつも、いっっっつも当て馬…なんなんだよこれは… ここまでくると、いくらハイスペックな役だろうが、いくら一途にヒロインのことを想おうが「演:瀬戸康史」の名前を見た瞬間に「あぁ…どうせ今回も勝てないんだろうな…」って諦めそうになる自分がいる。そんな自分が本当に情けなかった。瀬戸康史を信じきれない自分が大嫌いだった。それをかき消すように「次は来る…次こそ…次こそ…!」って叫びながら半ばヤケクソで有り金ぜんぶ「瀬戸康史単勝一点買い」に突っ込んだ…でもダメだった…瀬戸康史どころか自分すら見失った