文 吉川ばんび 忙しく働いているはずなのに満足な給料が得られない、急病により思うように働けなくなった……。こうしたとき、環境や社会という大きな構造に目を向けず、全て「自分のせい」と自分を責めてしまう人は少なくないように思います。 フリーライターの吉川ばんびさんは、自身の体験やこれまでの取材経験を踏まえて、過度に「自己責任」を内面化することに警鐘を鳴らします。著書『年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-』では、いかに貧困が構造的につくられているものかを指摘しました。 今回、吉川さんには自身の体験を振り返っていただきながら、自己責任論が導く「孤独」の問題と、誰かに頼ることの重要性について、ご執筆いただきました。 ***20代半ばくらいまで、私は本当に「ひとり」だったのだと思う。 職場と自宅を往復するだけの毎日を送っていた当時、私はただただ「日常」を崩さないことに精一杯で、プライベートで