リーダーシップの要素(その1)――目標設定力 前編ではリーダーシップそのものというより、どちらかといえばリーダーシップを発揮することと、発揮するためのマイナス面の除去といったことの双方を混在したまま述べてきた。しかし、不平不満をなくせば、人は必ずしも前向きで意欲的になるというものではないし、部下の能力や仕事の質が高まれば、求めるものも、細かい具体的なものから、より高いマネジメントレベルや“考え方”の問題に関するものに変わってくる。そこで、この問題をもう少し整理してみることにする。 企業には、「社会の中における自らの役割――何をするために存在するのか?」を示した経営理念がある。経営トップはその下で、目指す姿としてのビジョンや基本方針、そこへ向かううえでの当面の目標や、これを実現するための考え方や方法を経営戦略として設定する。 社内の各部門はこの会社の方針を、部門トップが中心となって、自部門の